熊本地震、今感じること

 In 建築

2016年4月14日、4月16日に襲った熊本地震から3ヶ月が経とうとしています。

幹線道路の復旧も進みライフラインも確保され、暮らしも少しずつ落ち着きを取り戻しつつ有ると思います。そんな中、建築に携わる者として現状を知っていただきたい内容もあり筆をとりました。

被災後約1ヶ月の間は皆さんもご存知のように「応急危険度判定」により2次災害を防ぐために全国から建築士が集まり被災建築物の調査を行いました。(被災した地元の建築士もいる中本当に有難い支援でした)

その後、保険会社や役所の方たちによる罹災証明や保険金算出のための被災調査が行われてきました。これはあくまで、保険金や義援金の金額を決める為のもので被災建築物の詳細調査ではなかったのです。この調査により被災された方は一喜一憂され、これからの進むべき道を判断された方も多いと思います。

そして今、建築業界は補修や補強、建替の為に奔走していますが、被災されたは注意が必要なのです。何故なら、心ない業者やきちんと調査・判断できない業者があまりにも多く高額な金額で工事を請け負っているということです。被災者の「1日も早くどうにかしてほしい」という気持ちを逆手に取り、利益目当ての工事やそういう気持ちがなくてもどうにかしてあげたいので「取り敢えずこのくらいで大丈夫だろう」と工事を行う業者・・・。

勿論、時は急がなければならない状況では有ります。いま梅雨時期に入り未だ屋根瓦の補修の目処が立たない方も多くいらっしゃるもですから・・・。これからは台風もやって来ます。

しかし、本当にそれで良いのでしょうか?
我々建築に携わる者は、少なくともキチンと建築物の被災状況を把握して、どう進むべきか方向性を示し適正な工事内容をアドヴァイスしなければならないと思います。

実は、我々熊本の建築に携わる者もこの様な大きな地震に遭遇した者はほとんどいないのです。(中には阪神淡路震災や東北震災時に経験した方もいらっしゃると思いますが・・・)
その様な建築技術者たちが何を判断基準に被災建築物を調査判断できますか?そしてどこをどの様に補強?補修?改修の判断し工事の方向性を示せるのでしょうか?
見た目では判断しずらい物も多く存在します。いえ、そういう建築物が多いのも事実です!
私たち建築士でさえ、やった事のない被災判断を突きつけられ・・・直ぐにでもどうにかしたい気持ちと闘わなければならないのです。そこで、分からずに調査したふり、震災経験の無い中での判断をする事は罪であり、犯罪行為に当たると考えます。

では、どうしたら良いのでしょうか・・・?
また、責任を持って被災者の立場に立ち判断できる技術者が存在するのでしょうか?

・・・存在します。
一般にはあまり知られていないかもしれませんが、一般財団法人 日本建築防災協会や熊本県、熊本の建築業界団体主催の「被災建築物の被災度区分判定基準および復旧技術指針」講習会というのが開催されていました。さらに同防災協会や熊本県主催の「木造住宅の耐震診断と補強方法」講習会が模様されています。(私も受講しましたが・・・)

この講習会を受講すれば、少なくともどの様に被災建築物を調査しなければならないか、また被災の度合いを判断する基準を知る事ができます。さらに復旧のための技術的なアドヴァイスすることの出来る勉強ができます。実践がなくとも講習会を受講すれば、講習会テキストを片手に進めることは可能です。
実際に何百人の建築技術者(熊本県在住の)がこの講習会を受講しているのです。

皆さんは、この様な講習会を受講した技術者と何も知らずに今までの経験で判断する技術者とのどちらに依頼をされたいと思われますか?

勿論、調査を行うのにも時間が掛かりますし、その調査内容から内容を判断するにも時間を要します。さらにその建築物の工事の進むべき方向性を見出すことや状況判断することは大変な作業になります。
それだけの事を行うのに調査費が掛かるのは当たり前の事です。
そこを辛抱して、そのままあてにならない判断で工事をされるのも方法です。時間は掛かりますが、ちゃんとした調査、判断のもと工事を進めることも方法です。強制はできません・・・。(後々再度大きな地震がないとは言い切れません。ちゃんとしたからといって、大丈夫と言い切ることもできないのも事実です。)あくまでも、どうするかは依頼者の判断次第です。

それでは、被災者としてどの様に判断したら良いでしょうか?
調査を依頼する際、工務店や建築会社、建築士に知り合いのいる方もおられるでしょう。全く分からない方もいらっしゃると思います。
依頼したい会社や建築士に上記の講習会を受講されているか確認をされてください!
講習会を受講すれ受講修了証が貰えますし、防災センターに登録される技術者もいます。
先ずはそれを確認するだけでもかなり優良業者へ近ずく様になると思います。
また、知り合いがいない、どこに依頼したら分からない方は、『一般社団法人 熊本県建築士事務所協会』へ連絡されることをお勧めします。調査を引き受けていただけます。
これで大分、安心できると思います。勿論、上記の防災センターに問い合わせても良いでしょう。
熊本県で受講し、センターに登録した技術者を把握しているはずです。

私たち建築技術者(敢えて建築士に限定はしません)は皆さんの健康や財産を守るために存在しなければならないと思います。勿論それだけでは有りませんが、クライアント(施主)の思いを形にすることも仕事です。
新築やリフォーム、リノベーション・・・様々なご依頼を頂くものとして「私利私欲」に走らず、適正な技術とサービスを提供する必要が問われるのではないでしょうか?(それは金額であり、技術であり、デザインであり、機能など様々です。)

これからの熊本の復興は数十年掛かることでしょう・・・。本当の意味で全ての方が幸せに暮らせる復興を目指していきたいものです。

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